明治３５年創業のふとん専門店『寝･生活館 よしなが』の四代目、吉永周平。次男だが、幼少期から漠然と家業を継ぐことを意識していたという。小学生の頃は毎日、家ではなく店に帰宅していた吉永。祖父や祖母、両親の働く姿を間近で見て、販売や接客の楽しさに触れる。

卒業後は実家で働き始めるが、３０歳手前で異業種の人と集まった時、自分がいかに世間知らずかを思い知らされることに。吉永は地元の経営者が集まる『三原商工会議所青年部会』や『広島県中小企業家同友会三原支部』に入り、会社のことを真剣に考えた。経営者としての自覚が芽生え、セミナーに参加したり、ホームページを作ったり、ブログを始めたりと新しいことにも挑戦していく。

創業１００年を超える老舗として守り続けるべきことはたくさんあるが、一つが〝ふとんは中身が見えないからこそ信頼感が大切〞ということ。初代から２代目、３代目、そして吉永へと大切に受け継がれてきた。「安心できる大手メーカーとのみ取引し、購入前には必ず肌にふれてもらうようにしています。先代からの思いを引き継ぎ、一人ひとりの体格や悩みに合ったふとんを提案していきたいですね」。

２０１５年からは「ふとんのレンタル」も開始。売るだけでなく、いろんな角度から人を喜ばせたいという吉永の思いから生まれた企画だ。今は一般家庭のみだが、今後は学校の寮や企業にも貸し出していきたいと話す。受け継がれてきた歴史は、まだまだ続いていく。

趣味はラーメンの食べ歩き。週に1度は食べ、近所にある『塩そば まえだ』もお気に入りの一つ。